傷病手当金の支給要件、手続き等についてわかりやすく説明しています
■傷病手当金の支給期間は?

(質問)
同一の疾病または負傷およびこれによって発した疾病に関する傷病手当金の支給期間は?



(解説)
傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷およびこれによって発した疾病に関しては、支給を開始した日から1年6か月となっています。(ちなみに昭和52年12月までは、原則6か月で、厚生大臣の指定する傷病についてのみ1年6か月とされていました。)

ここで、疑問に思われる箇所は、「同一の疾病または負傷」というところだと思います。具体的には1回の疾病または負傷が治癒するまでをいいますが、治癒の認定については医学的な判断のみによるのではなく、社会通念上治癒したものと認めらて、症状がなく相当期間勤務した後に、再発したとき(病名が同じであっても)は別個の疾病とみなすこととされています。通常は、再発の際に前回の受給中止時の所見やその後の症状の経過、勤務状況などを調査したうえで社会的治癒かどうか認定されることになっています。

なので、社会的治癒が認められたら前回と同じ傷病名であってもまた支給開始日から最長で1年6か月間、傷病手当金をもらえるんですね。だから、この部分は慎重にしないと、「社会的に治癒していなかった」と保険者(協会けんぽや健康保険組合)に認定されてしい、前回の傷病手当金支給開始日から1年6か月の範囲内の分しかもらえないんです。(1年6か月を過ぎていたら不支給)

私個人の考えですが、社会的治癒が認めらるには、まず前回の傷病の治療を中止してから1年くらいはその傷病で治療を受けていないこと、(経過観察の検査は微妙、投薬等を続けていると恐らくダメ)職場に復帰してその病気による欠勤などなく残業なども問題なくこなしていることが必要だと思っています。前回と同じ傷病名で傷病手当金をおこなったときに、社会的治癒であったかどうか微妙なケースは、かなりの確率で調査の対象になると思います。その調査ですが、会社に対して出勤簿の写しと賃金台帳、治療状況は病院から来るレセプトと医師に対する症状照会をおこなって判断しているように感じます。

なお、結核性疾患に関しては、症状が固定し、自覚的および他覚的にも病変や異常を認めず、医療を行なう必要がなくなった程度、すなわち、社会通念上、治癒したものと認めることができる状態にある場合を「治癒」として認定しており、その後通常の勤務に服したにもかかわらず、一定期間経過後に再び結核性疾患が発生したときは「再発」として取り扱われることとされています。そして再発と認定された場合は、病名が同じ結核性疾患であっても別個の疾病とされ傷病手当金が支給されます。(当然、別個の疾病とされた場合は、再び待期期間を完成する必要があります。)


(参考)
1.一回の疾病又は負傷で治癒するまでをいうが、治癒の認定は必ずしも医学的判断のみによらず、社会通念上治癒したものと認められ、症状をも認めずして相当期間就業後同一病名再発のときは、別個の疾病とみなす。通常再発の際、前症の受給中止時の所見、その後の症状経過、就業状況等調査の上認定す。(昭和29年3月保文発第3027号)(昭和30年2月24日保文発第1731号)

2.同一の疾病又は負傷には再発にかかるものは含まない。(昭和2年6月疑義事項解釈)

3.結核性疾患については、症状が固定し、自覚的および他覚的にも病変や異常を認めず、医療を行なう必要がなくなった程度、すなわち、社会通念上、治癒したものと認めることができる状態にある場合を「治癒」として認定している。したがって、その後通常の勤務に服したにもかかわらず、一定期間経過後再び結核性疾患が発生したときは「再発」として取り扱って差し支えない。(昭和29年6月26日保文発第7334号)

4.医師の附した病名が異なる場合
医師の附した病名が異なる場合でも疾病そのものが同一なることが明らかなときは同一の疾病に該当する。(昭和4年8月30日保規第45号)

5.略治のまま勤務に服したとき
略治のまま勤務に服したときは、その後定期的に健康診断を受けその結果治癒と判断されて相当期間労務に服しその期間中の健康状態が良好であったことが認められれば、一旦治癒し再発と認められる。(昭和28年4月9日保文発第2013号)

6.再発とは?
被保険者が医師の診断により全治と認定されて療養を中止し、自覚的にも他覚的にも症状がなく勤務に服した後の健康状態も良好であったことが確認される場合は再発とみなす。(昭和26年12月21日保文発第5698号)

7.「てんかん」について
最後の発作後相当期間経過し、症状もなく、治療の要もなく、かつまた、労務に服することを得る状態にあったとき、その後の発作は再発として取り扱う。(昭和11年5月30日保規第124号)

8.これにより発した疾病とは?
同一系統のものであるか否かを問わずある傷病を原因として発した疾病をいうが、前傷病が一旦治癒した後これを原因として発した疾病を含まない。(昭和5年7月17日保規第351号)
※直接的、医学的因果関係があることが必要になる。よって第一疾病がなければ第二の疾病はおこり得なかったであろうという密接な因果関係が、その間に認められなければならない。例えば、胃酸過多症に起因する胃潰瘍等がある。

7.1年6か月の意味
1年6月分の傷病手当金が支給されるという意味ではなく、支給開始日から1年6ヵ月間という期間を意味する。よってその間に労務可能となった期間も含まれる。

8.給付制限に該当した場合
傷病手当金の支給を受けている被保険者が、法施行区域外に赴き法第118条第1項第2号に該当するに至ったとき、すなわち監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたときも、その期間は1年6か月の期間内に包合する。(昭和4年7月10日事発第1175号)(昭和5年8月26日保規第451号)



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