傷病手当金の支給要件、手続き等についてわかりやすく説明しています
■労務可能だが通院のため欠勤する場合の傷病手当金は?

(質問)
前の仕事が問題なくできるまで回復したが、病院が遠く通院のため欠勤する場合の傷病手当金は?



(解説)
療養を担当した医師が休職前の仕事に復帰できるくらい回復してると判断しているのに、「もう少し休むか。」と休職を続けた場合、当然のことながら傷病手当金の支給要件である「労務不能」に該当せず、傷病手当金は不支給となります。
これは、傷病手当金の支給要件である「労務に服することができない」という判断基準は、従事する業務の種別を考慮して、その本来の業務に堪えうるか否かを標準として社会通念に基づき認定されることになっているため、前の仕事が問題なくできるまで回復した場合はこの基準に当てはまらなくなります。
では、質問のケースのように、病状は回復しているが、病院が遠く通院するのに時間がかかるので、結果的に欠勤せざるを得ないケースはどうなるのでしょう。
この場合は、傷病は休業が必要な程度ではないとしても、本人の住所が病院から離れており、通院のために事実上休業せざるを得ない場合には、この休業を広義に解釈して、療養のため労務不能であるとされ、傷病手当金が支給されることになっています。まあ、現在は過疎地域や離島などを除き、医療機関の数や交通の便もよくなっていますので、医療機関が遠く通院のために休業せざるを得ない状態というのは少なくなっており、このケースに該当することは少ないと思いますが・・・。
余談になりますが、私が傷病手当金について、よく質問を受けるケースですが、入院することになったが、有給休暇が残っているので、まずこれを消化してから傷病手当金をもらったほうがいいのか、それとも最初から傷病手当金をもらったほうがいいのか聞かれることがあります。
最終的にどうするかは自分で判断してもらうことになるんですが、私ならまず入院したらすぐに傷病手当金を受給し、退院後の通院期間であっても労務不能である間は傷病手当金を受給します。そして、復職してから経過観察のために月1回程度通院するようになったときのために有給休暇を残しておくと答えています。
なぜなら、復職してからの経過観察の通院期間は一般的に労務不能とはいえませんので、有給休暇がなくなってしまうと欠勤扱いになり、給料もカットされ、傷病手当金ももらえないという状況になるからです。このときの通院が自宅から遠く事実上欠勤しないといけないケースに該当すれば傷病手当金の請求は可能となりますが・・・。


(参考)
1.被保険者が齲歯の治療を受けようとするとき、四、五里先に行かなければ治療を受けられぬときには、その症状が欠勤しても診療を受けることを必要とする場合には、療養のための労務不能とみなし傷病手当金を支給する。(昭和6年3月11日保規第31号)

2.被保険者が療養の給付を受ける場合、保険医はその傷病は休業を要する程度のものでないと認定したが、被保険者の住所が診療所より遠く通院のために事実上労務の廃止を必要とする場合、この休業は広義に解し療養のため労務不能と解し、支給してよい。(昭和2年5月10日保理第2211号)



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